指の形は大事!
- 実佳 匂坂
- 2024年9月30日
- 読了時間: 5分
ピアノを習っていると、よく指の形を注意されることがあると思います。
正しい指を使って、正確に鍵盤を押すだけでも精一杯なのに、一本一本の指の形まで気にするなんて…と思う人もいるかも知れませんが、指の形が正しいほうが後々ピアノを弾きやすくなります。
今日はなぜピアノを弾く時の指の形が大事なのか解説します。
目次
1.そもそも指はどんな形がいいの?
ポイントは次の2つです。
①手首を上げること
②指の関節をしっかり立てること
教える時には「手の中に卵を持っていると思って!」と伝えます。
手首が下がったり、指がつぶれたりして鍵盤と手の間の空間がなくならないように、ということです。
それぞれについて細かく説明していきます。
①手首は鍵盤より下がらないようにしましょう。
かといって上げすぎても変な力みにつながってしまうのでNGです。
目安としては手の甲と腕がまっすぐ平らになるイメージです。
手首の部分で谷になっても山になってもいけません。
②指にはいくつか関節あります。
爪に近い方から第1関節、第2関節、指の付け根のところが第3関節です。
特に第1関節が鍵盤を押さえた瞬間に瞬間につぶれてしまう人が多くいます。
関節のところで力が逃げてしまい、鍵盤に力が伝わらなくなってしまうのでしっかり関節をたてて弾きましょう。
もちろん他の関節も抜けないようにします。
ピアノの鍵盤に接しているのは、指紋がのところではなく、爪のすぐ内側の部分です。
爪が当たってしまうと指が滑ってしまったり、カチカチと音が鳴ってしまったりするので、手のひら側から見て、爪が見えないくらいの長さにしておくのがおすすめです。


2.なぜその形?
理由はピアノの構造に大きくかかわっています。
ピアノは鍵盤を上から押さえて音を鳴らし、鍵盤が元の位置に戻ると音が止まります。
強く抑えれば大きな音が鳴り、弱く抑えれば小さな音が鳴ります。
それを踏まえたうえで、正しい形にする理由は大きく次の2つです。
①楽に、かつ、しっかり力を鍵盤に伝えるため
②速く指を動かせるようにするため
①について
そもそも鍵盤より手首が下にあった場合、指をしっかり鍵盤から上げることも、強く抑えることも難しいですよね。
また、指の関節で力が抜けてしまったら、鍵盤にしっかり力が伝わらずしっかりした音が出せません。
自分が入れた力を鍵盤に伝えて、しっかり音に出すには力のロスをなくして、効率よく鍵盤に力を伝える必要があります。
②について
ピアノは指を鍵盤から離すと音が止まりますが、鍵盤から遠くまで離す必要はありません。
しっかり上げようと思って、鍵盤から指を離しすぎると、その分時間と力の無駄が生まれてしまいます。
例えば人差し指の第3関節を動かした場合で考えてみましょう。
指を曲げた状態と、伸ばした状態では第3関節が同じだけ動いても、指先の位置は伸ばした状態のほうが鍵盤から遠くなります。
ゆっくりの曲ならまだ弾けるかもしれませんが、速い曲の全ての音でここまで指を上げている余裕はないですよね。
最短距離で速く動かす必要があります。


3.正しい形を覚えるための練習方法
曲を弾いている中で、指の形まで気を配るのは最初はなかなか難しいと思います。
音を覚えたり、メロディーと伴奏のバランスを考えながら弾いたり、と他に考えなければいけないこともたくさんあります。
そこで指の形を覚えるのにもっともよいのは「ハノン」の練習だと私は思っています。
ピアノを習っていれば聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ハノンというのは色んな音型のパターン練習が載っている本で、動きにくい指を鍛えたり、どの指でも同じような音が出せるように行う指の体操です。
大体の場合ユニゾン(左右が同じ音)ですし、短い音型を覚えてしまえば、あとは同じ形を高さを変えながら進んでいく、というパターンが多いです。
譜読みに時間がかからない上に、覚えるのも簡単なのでこの時に音が均一に出せているか、だけでなく良い指の形で弾けているか、自分でよく確認して練習してみてください。
レッスンで先生に注意して直すだけでなく、自分で弾いているときの指の形がどうなっているのか把握して直していくことがとても重要です。一週間に1回のレッスンよりも、自宅での練習時間の方が長いと思うので、そこで直していかないとなかなか習慣になりません。
また、机などで形を確認するのもおすすめです。
正しい形(手のひらと机の間に空間があり、指の関節が曲がっている状態)で5本の指を置いてみて、第一関節を逆の手の指で軽めに押してみてください。
この時にすぐカクッと関節が抜けてしまうのでは指を立てる力が足りません。
押す指に負けないように第一関節に力を入れる練習をしてみてください。
いかがでしたか?
手や指の形は効率よく鍵盤に力を伝えて、細かい表現を可能にするために必要なことです。
慣れてくれば、楽にピアノの音が出せるようにもなります。
ショパンやリストなどの難しい曲にチャレンジしてみたいと思っている方は、少しの指のコントロールで聞こえ方がかなり変わってくるので、ぜひ早いうちに正しい指の形を身に付けてみてくださいね。
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